DOS用のゲームとして発売されたDOOM及びDOOMU(DOOM3などと区別してClassic DOOMと呼ぶ事があります)は、3Dゲームと言っても、多くの二次元的な要素を残していました。そのため、しばしばDOOMは2.5Dゲームなどと言われる事もあります。
DOOMをプレイした事のある人なら分かる通り、DOOMのゲーム空間の中には、『2階』というものがありません。これは、ゲームのマップを定義しているデータが、二次元としての情報しか持たないからです。従って、DOOM用のレベルエディタでは、上から見た平面図を描くようにマップを定義するのが一般的です。
QUAKE以降の一人称シューティング(FPS)ゲームでは、ほとんどが、マップやキャラクターなどは完全な3Dデータで定義されるようになりましたが、その分、レベルエディタでマップを作る事は、通常の3DCGソフトを操作する感じに近くなりました。しかし、おそらく少しでも3Dモデリングをした事のある人なら分かると思いますが、あくまで平面であるコンピュータのディスプレイ上で三次元の物体を定義するのは、ある程度の困難を伴います。
もし、現在でもDOOMのレベルエディットに何かしらの利点があるとしたら、それは、多くの事柄を二次元的に扱えるというわかりやすさではないかと思います。しかしながら、それと同時に、DOOMの擬似3D空間の定義の仕方には、かなり独特のものがあり、逆に完全な3Dモデラーで扱った方が直感的でわかりやすいと思われる場合もあります。元々、ソフトウェアによるレンダリングを念頭に作られているためか、実はDOOMにはポリゴンという概念すらありません。DOOMのマップの構造には、現実の3D空間ではあり得ないような状況が起こり得る余地があります。
DOOMのレベル作りの初心者にとって、難関の一つに、その独特の『用語』があります。本来なら、それらの用語解説を最初にするのが、順番的には正しいのですが、最初から、そういった言葉の定義や概念を延々と説明されても、具体的なイメージがつかめずに苦労する事が多いので、本ヘルプでは、チュートリアルで実際にマップを作りながら、逐次的に用語を解説するようにしています。また、WadCraftの機能についても、列挙的な解説方法はとらずに、すべての機能がチュートリアルの中で説明されるようにしてあります。
ちなみに、本ヘルプでは、『レベル』と『マップ』という言葉が混在していますが、どちらも同じ意味で使っています。一般的に、これらを表す言葉として他にも、『ステージ』や『面』といった言葉がありますが、DOOMでは、『レベル』か『マップ』のどちらかで呼ばれる事がほとんどで、どちらを使うのがいいのかは決まっていないように思われます。